運営の目線

【ランチェスター戦略と障害福祉事業所】事業所の運営 どうやって生き残るか

経営戦略のひとつに「ランチェスター戦略」というものがあります。
それは、弱者が強者に勝つための戦略です。

中小企業は、大手企業と同じ戦い方をしていては、間違いなく勝つことができません。
では、勝つために必要なこととは、いったいどういったことなのでしょうか。

今回は、この「ランチェスター戦略」を障害福祉サービス事業所運営に当てはめて考えます。

増え続ける障害福祉サービス事業所

障害福祉サービス事業所は、年々増加しています。
中には、総量規制※がかけられている地域もあります。

※同一地域内での事業所数に上限が設けられている状態。
 その上限を超えて、事業所を立ち上げることはできない。

つまり、場所によっては、事業所が飽和状態にあるということです。

この飽和した状態で、今までのやり方が通用するとは、とても思えません。
そこで、ランチェスター戦略を参考にし、今後の事業所運営を考えます。

大手のやり方を、真似してはいけません

大手は「広域に広告を打ち出し、総当たり」することができます。
時折、あなたの事業所に他事業所のチラシが届くことがあると思います。
やはり、ある程度大きな規模の企業が、そういった戦略をとる傾向にあります。

ですが、私たち中小企業は、そうはいきません。
そんな大がかりな広告を出せば、資金が尽きてしまう恐れもあります。

では、どのようにして、見込み利用者(障がい者)と接点を持つのでしょうか。

至近距離での一騎打ちを狙う

なんだか、物騒な見出しです。

ランチェスター戦略では、顧客と距離を詰めての接近戦が基本です。
つまり、先ほどのようなチラシでの営業ではなく、直接対面での営業が効果的とされています。
(相談支援事業所に足しげく通う、障がい者が集うイベントに参加し事業所のPR活動をする、各所へお礼のハガキを出す、など)

ほかにも「単純接触効果」というものがあります。
これは、接触回数が多ければ、相手は好意を抱きやすい、というものです。

「1回の訪問を長時間」ではなく、「短時間で複数回訪問する」方が、戦略としては効果的です。

「小さなNO.1」を目指す必要がある

大手企業のように、日本でNO.1を目指す必要はありません。
そのためにどこのだれにどんなサービスを提供するかを意識してください。
そして、それらを細分化していきます。

県内1位が難しければ、市内で1位。
さらには、市内のある地域で1位でも構いません。
「収益が伸びないから、あれもこれも」は、危険な状態です。
それだけ、戦力が分散してしまうからです。

ですので、小さなNO.1を目指します。

【どこの】
・隣の市や町まで手を伸ばさず、事業所の所在地で
・送迎時間短縮のためにも、事業所から半径2km以内の範囲

【だれに】
単に「障がい者」ではなく
・一般企業へ事務職として就職を見据えている精神障がい者
・日中、自宅にしか居場所がない知的障がい者  など

【どんな】
単に「就職を支援する」ではなく
・接客業に特化した就労支援
・作業を行う中で、自信を取り戻してもらう就労支援  など

「市内で」「清掃業への」「障害者就職者数」がNO.1
こうした小さなNO.1を、どんどん狙っていきましょう。

すると、自然とスタッフの知識も、ますます深まっていきます。
次第に事業所は、清掃業の特化型となり、手厚いサービスを提供することができるようになります。
そうすれば、自然と清掃業を目指す利用者の方が集まるようになります。

「障害のある人なら誰でもどうぞ!」だと、誰の心にも響きません。
どこの、だれに、どんなサービスを提供するかを明確にすることで、対象となる方の心にも響きやすくなります。

「そこのあなた!」と呼ばれるのと「●●でお困りの、〇〇さん!」と呼ばれるのでは、印象が違いますよね。

ひと味違うサービスの提供や事業所の構築を

今は、とにかくいろいろなものが飽和している時代です。
さまざまな情報も、簡単に得ることができます。
ですから「どこの事業所も同じ」だと、利用者としても決め手に欠けてしまいます。

つまり、他の事業所との差別化ができなければ、生き残ることが難しい時代であると言えます。

これから、生き残ることができる事業所を運営していくためにも、お気軽にご相談ください。

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