「処遇改善加算」は、福祉職員の賃金水準を引き上げるための加算です。
もちろん、加算を取得するためには、要件を満たす必要があります。
今回は、就労移行支援における、処遇改善加算の要件などを確認しましょう。
※特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算はここでは扱いません
処遇改善加算の単位数は?
処遇改善加算の単位数は、決まっていません。
代わりに「加算率」が定められています。
【就労移行支援の場合】
処遇改善加算(Ⅰ):6.4%
処遇改善加算(Ⅱ):4.7%
処遇改善加算(Ⅲ):2.6%
(報酬改定などにより、変動する可能性があります)
このように、加算率が設定されています。
そして、この加算率を「基本報酬+処遇改善以外の加算」の合計単位数に加えます。
【例】
・「基本報酬+処遇改善以外の加算」が150,000単位
・処遇改善加算(Ⅰ)を取得した場合
150,000×6.4%=9,600
150,000+9,600=159,600
上記のように、単位数を算出します。
この場合、9,600単位が処遇改善加算にあたります。
そして、総合計は159,600単位です。
処遇改善加算の要件
処遇改善加算を取得するには、つぎの要件をすべて満たす必要があります。
■キャリアパス要件・職場環境等要件
■処遇改善計画書の作成・提出
■職員への周知
■処遇改善実績報告書の作成・提出
■労働保険へ加入し、労働保険料を適正に支払っている
■労働に関する法律に違反していない
キャリアパス要件
処遇改善加算の取得には、キャリアパス要件を満たす必要があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000915802.pdf
厚生労働省 資料(PDF)
こちらのPDFの25ページをご覧ください。
「3 キャリアパス要件について<処遇改善加算>」
こちらに書かれている項目が、キャリアパス要件です
【必要なキャリアパス要件】
処遇改善加算(Ⅰ):キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのすべて
処遇改善加算(Ⅱ):キャリアパス要件ⅠとⅡ
処遇改善加算(Ⅲ):キャリアパス要件ⅠかⅡのどちらか
それぞれを満たすことが、加算取得の要件として定められています。
職場環境等要件
キャリアパス要件だけでなく、職場環境等要件を満たす必要もあります。
処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のどの場合でも、職場環境等要件を満たさなければなりません。
しかし、職場環境等要件は、どれかひとつでも満たせばOKです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000915802.pdf
厚生労働省 資料(PDF)
PDFの26ページ
「4 職場環境等要件について<処遇改善加算・特定加算>」
こちらに書かれている項目が職場環境等要件です。
ずらっと、項目が並んでいます。
一見、難しそうに感じますが、よく見てみると、要件を満たしやすいものがいくつかあります。
■他産業からの転職者……採用の仕組みの構築
■有給休暇が取得しやすい環境の整備
■事故・トラブルへの……体制の整備
■ミーティング等による……支援内容の改善
■支援の好事例や、……共有する機会の提供
このあたりの要件を満たすことは、それほど難しくないでしょう。
職員への通知
処遇改善加算を取得し、職員へ支給する旨を通知する必要があります。
これは「書面での通知が望ましい」とされています。
書面での通知ができるよう、準備をしましょう。
処遇改善加算計画書、実績報告書の作成・提出
各自治体(指定権者)の案内どおり、期日までに書類を提出する必要があります。
様式は、エクセルデータを自治体がホームページなどで公開しています。
しかし、慣れないうちは、作成に手間取るかもしれません。
自治体によっては、記入例を掲載しているところもあります。
そちらを参考に、作成するのもひとつの手です。
処遇改善加算を取得するために
就労移行支援で処遇改善加算を取得するための要件などを確認しました。
ぜひ、処遇改善加算を取得し、職員の賃金水準を引き上げましょう。
結果として、離職率を低下させることや、サービスの質の向上につながります。
処遇改善加算に関するお困りごとは、こちらへご相談ください。