人は、いろいろな形で情報を得ることができます。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことを五感と言いますね。
今回は「触覚」に焦点を当ててみましょう。
口を拭かれることを嫌がる その理由は?
次のようなケースがあった場合、どのように考えれば良いでしょうか。
利用者Cさんの昼食介助を終え、支援スタッフがタオルで口を拭こうとしました。
すると、Cさんは大声をあげ、口を拭かれることを明確に拒否しました。
今まで、そんなことはなかったのに、突然どうしたのだろう?
次の日、同じ支援スタッフが口を拭きましたが、拒否をしませんでした。
ですが、さらにその次の日、同じ支援スタッフが口を拭いたところ、拒否をしました。
この状況を見る限り、口を拭かれること自体がイヤではないように感じます。
また、支援スタッフも変わっていないため、特定のスタッフにこだわっている様子もありません。
いったい なにが原因?
これだけの情報では、まだ原因を特定できそうにありません。
他に、なにか変わったことはないか、支援スタッフ同士で話し合いました。
自宅の環境が変わったわけでもない。
新しいスタッフや利用者が増えたわけでもない。
最近「新しいタオルを買い足した」ということしか見当たりませんでした。
些細なことこそ 見逃さないように
Cさんが、口を拭かれることを拒否するようになってから、1週間が経ちました。
支援スタッフが、いつもどおりCさんの口をタオルで吹きました。
すると、Cさんはそのタオルを掴み、床に放り投げました。
さすがに、そのタオルを拾い上げ、口を拭くわけにいきません。
支援スタッフが、新しいタオルを取り出し、口を拭いたところ、Cさんは拒否をしませんでした。
支援スタッフは不思議に思い、タオルを見比べました。
口や肌に触れる 感覚のちがい
そして、支援スタッフは気がつきます。
Cさんが拒否をするのは、新しいタオルで口を拭かれたとき。
拒否をしないのは、以前から使っていたタオルで口を拭かれたとき。
試しに、それぞれのタオルを触ってみると、確かに手触りが違いました。
Cさんは、新しいタオルのことを不快だと感じていたのかもしれません。
同じメーカーのタオルを 新しく買うと
支援スタッフは、以前から使っていたタオルと同じメーカーのタオルを買い足しました。
そして、その新しいタオルでCさんの口を拭きました。
結果、Cさんは嫌がりませんでした。
Cさんは、口を拭かれること自体は気にしていなかったのです。
ある特定のタオルが、イヤなのでした。
利用者の支援に困ったときは
まずは、事業所内の職員同士で、しっかりと話し合いましょう。
ひとりで支援をしているのではありません。
チームで支援をしているのです。
力を合わせて、乗り越えていきましょう。
しかし、チームで話し合った結果、うまくいかないことも珍しくありません。
そんなときは、こちらまでご相談ください。
15年間の障害福祉経験を活かし、課題解決のお手伝いをいたします。